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パイプオルガンと音楽

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    新刊書を中心に、オルガン文化や、その技術の背景に焦点を当てて書物を紹介する。

    本サイトの一部である 「オルガンの美術館」 では、ヨーロッパのロマネスクやゴシックの教会建築に設置されたパイプオルガンの写真を多数紹介している。これらの伽藍の多くは数百年前の中世に建てられたものなのだ。教会はオルガンという楽器を育んできたと同時に、その空間はオルガンという楽器の一部とも言える。ヨーロッパの中世がどういうものだったのかを知ることは、オルガン文化に近づく上で大いに助けとなるはずだ。

絵解き中世のヨーロッパ   (2004/9/08)

    フランソワ・イシェ(著)/蔵持不三也 (訳)
    原書房  ¥4,410  ISBN: 4562037083

    中世の日常生活を、教会の時祷書や彩色写本を通して紹介している興味深い本だ。著者のイシェは、フランスの歴史学者。職人、特に建築職人の同業組合史が専門だという。本書ではカラー写真で約 200の図像が採り上げられている。農民、貴族・領主、戦士、聖職者の姿が生き生きと描かれ、ヨーロッパ中世を知る上で役立つ。

    キリスト教徒がイスラム教徒とチェスに興じている絵が載っているが、両者は「象徴的に、そして実戦よりはるかに平和裏に対決したものだった。これら2つの宗教間では、このミニアチュールがつとに示しているように、対話が依然可能だった」 と注釈にある。

    価格は高めだが、日本語の類書はなさそう。 → この本を購入


フランス中世歴史散歩  (2004/9/08)

    レジーヌ・ペルヌー ,ジョルジュ・ペルヌー (共著)/福本秀子(訳)
    白水社  ¥3,675   ISBN: 4560028486

    ペルヌーの前書きにも記されているように、これは知的好奇心を持ってヨーロッパ文化に接する日本人のために書かれたような本である。本書を片手に フランスを旅するなら、いっそう充実した見聞ができるだろう。

    全体は地域ごとに分かれた構成になっており、タイトル(La Tour ... )が示すように、旅行ガイド的な使い方もできる。その土地の遺産について学びながら、例えば、フロマージュという言葉の語源などもさり気なく知ることができる。なお、こちらの本には図像はあまりない。

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草野 厚 「癒しの楽器 パイプオルガンと政治」  (2003/1/20)

    文芸春秋 (文春新書)   680円+税  192ページ  新書判
    2003-1-20発行.  ISBN 4-16-660298-5

    このページの主宰者も長年指摘してきたように、オルガン(クラシック音楽と置き換えても良い)の世界は極めて政治的な場所である。本書は、日本の地方自治体が建設した音楽ホール等、公共施設へのパイプオルガン導入設置の実体を暴いたもので、画期的な内容を含んでいる。
    なぜ公共施設、特に音楽ホールにパイプオルガンが必要なのか、という目的に関して「パイプオルガンが好きな私」である草野氏の見解は明解とは言えない。受益者として市民の大半を代表するはずの聴衆の視点がほとんど感じられないからだ。大型のコンサート用オルガンを、他の楽器と同列に扱うことはできないだろう。オルガンにはオルガンという楽器の成り立ちと文化があった。こうした歴史やこの楽器の特殊な機能故にその活用も又、包括的な視点から捉え、また考察しなければならない。
    草野氏はこの著書がたんに政治的な問題のみを扱ったものだと断っている。とすれば、氏が提唱したい「オルガンの活用」もまた、オルガンやその音楽を文化として捉える視点の埒外にある。
    多少なりともオルガンに関心を持っている人には、この本の論旨が芸術文化の本質とは無縁であることを念頭に置いた上で、一読をお勧めする。国民には、税金がどのように使われているかを知る権利があるからだ。本書は重大な問題を提起していると思われるので、オルガン製作者兼リスナーの立場で、そこに欠けている視点いついて このサイト上で今後詳しく論評したいと考えている。
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  • 本サイト主宰者が指摘する、東京芸術劇場ガルニエオルガンの問題点
  • 草野氏の著書出版の流れで 2003年4月16日、衆議院決算行政監視委員会で政府は、芸大奏楽堂オルガンの不明朗な導入に関して追求された。 (2003-4-30)
  • 「管風琴音盤百選」 編輯委員室の佐々木裕二さんによる、本書の詳細な書評が発表された。(2003-1-25)

渡辺 裕 「音楽機械劇場」

    これまでの西洋音楽研究が、自らの音楽観や感覚をあたかも普遍的であるかのように錯覚し、 かなり歪んだ歴史像を描いてきたのではないかという反省を踏まえ、 音楽史と技術史のギャップを埋めその再構築を試みる注目の書。
    第1部は、自動演奏楽器が果たした役割に始まり、 ピアノの改良あるいはまた「機械化」、ベートーヴェンにおけるペダルの使い方を中心に、 19世紀前半の楽器改良(ハイテク)がもたらした成果がいかに音楽表現の発展を促してきたかを検証。 最後に演奏技術と表現に関し、音楽学者、ロバート・フィリップの論文を引用して、例えば 今日の「個々の音をクリアーに正確に弾く」風潮が必ずしもモーツァルトやベートーヴェンの音楽を正確に 復元するものではないと指摘されている。(「オリジナル」演奏を試みる「古楽」の人々に対する警鐘。)
    第2部では、レコードの発明がいかに音楽文化の状況を変化させたか、自動ピアノと女性解放、 蓄音器と日本の音楽文化、ラジオ、サイレント映画とその音楽(シアター・オルガンの機能に言及)。 そしてトーキーの登場とハリウッド・スタイルの音楽の確立、などが扱われている。
    音楽におけるテクノロジーとは何か、メディアとは何か、という今日における根源的な問題を深層から問いただすものであり、 クラシック音楽愛好家と自ら思われる方々にはぜひご一読願いたいと思う。
    我々のように、ロマン派 あるいは シンフォニックなオルガンの普及に力を入れているオルガン製作者は、 古楽ブームのあおりを受けて 「オルガン=古楽器」という実に短絡した(非)常識が定着しているのを 苦々しく思っているわけだが、本書はこの点でも新たな観点を示唆してくれるであろう。
    (97/7 新書館 ¥2400+税)  → この本を購入

吉川 茂 「ピアノの音色はタッチで変わるか」 - - 楽器の中の物理学 - -

    本書のタイトルは私も非常に関心を持っているテーマなので、書店で見つけてすぐに購入したが、 実際は副題に示されているように、 ピアノ、フルートや尺八(オルガンパイプを含むエアリード楽器)、リード木管楽器、金管楽器、弦楽器について 発音のメカニズムが解説されている。 これまでの教科書には書かれていない、現在の楽器音響学の最先端での研究を知ることができ、 楽器製作者や楽器の音色に関心を持つ者にとって必読の書と言える。
    エアリード楽器の発音メカニズムは1960年頃までほとんど解明されていなかったのだが、 その基本的な部分であるジェット膜に関する理論は、本書を著した吉川氏らによって近年完成した。 このため、オルガンパイプの発音に関する部分はわれわれオルガン製作者にとって特に興味深い。
    一方、“...楽器の音色を決める共鳴特性は管壁でのエネルギー損失と管端からの放射損失によって規定され ... 空中では管壁の振動は無視できるほど小さいため、管楽器の音色は材質によって変わらないとするのが 音響学者の見解です”  “ところが、この「無視できるほど」という点が曲もので、音響学者にとっては無視できても、演奏者やメーカーには 無視できない小ささかもしれません。”  と書かれているのを見ると、われわれオルガン製作者の経験や常識は(他の管楽器メーカーのそれと比べて) ほとんど研究者に伝わっていない事実を痛感する。  なお、タイトルの「ピアノの音色はタッチで変わるか」という論点についても、まだ結論は出ていない。
    (97/6日経サイエンス社  ¥2000+税)  日経サイエンス社:本書紹介のページ
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Last modified 2004-09-08.
(First published 1997-11-25)
Since 97-11-25